法名碑

平たい石版に法名が刻んである。これを法名碑という。
先日の墓参りの折、霊園で、私はまだ新しい法名碑をたくさん見た。「法名碑」と刻まれた石版の左側がほとんど空欄だったので、まだ新しいと知れたのである。

建てられて間もない法名碑は、建てた本人であれ配偶者であれ子どもであれ父母であれ孫であれ兄弟姉妹であれ、彼らの法名が”確実に刻まれる予定”で屹立している。その目的において、これほど先見性を持った予定があるだろうか。

なるほど法名碑そのものは、改めて職人の手を借りるまでに物質的な寿命を迎えるかもしれない。しかし空欄の存在が未来の役割を担っている以上、法名碑はその空欄の限り目的を果たし続けるのだ。

………。
ところで、新しい法名碑にはこんな露骨な予言をさせておいて、建てた人間は、どんなにか今日を必死で生きていることだろう。

秋が深まるのは、まだこれからである。