夢と現実

夢の中で、ぼくはインド旅行を楽しんだ。
そこには物乞いも、押し売りも、すりも、詐欺師もいなかった。安宿ではあるけれど、ちゃんとシャワーが出て、乾いたシーツで眠ることができる。朝早くに起きて、ガンジス河で沐浴をする。朝日を浴びながら合掌する。目に映る喧騒のわりに、辺りは静かである。岸では人々が洗濯をしたり死体を焼いたりしているのが見える。それが当たり前のように思える。沐浴を済ませ、遅めの朝食を摂る。シナモンのほのかに効いたチャイが、体に甘く優しい。夢の中で、ぼくはオーストラリアへ旅行した。
往復3ヶ月有効の格安チケットを買って訪れた先は、メルボルンとゴールドコースト。メルボルンで友人に会い、ゴールドコーストで水遊びをする。湿度が低く乾燥しているため、夏でも過ごしやすい。ビーチサンダルを持ってきてよかったと思う。オーストラリアにいる間、ぼくは共有キッチン付きの部屋を借りて、大型スーパーで買い物をする。日本の調味料を使った料理は、それがたとえ簡素なものでも、パーティで喜ばれるのだ。

目が覚めて思う。
ぼくが夢で見たインドは本当のインドじゃない。くさくて、うるさくて、誰も信用できない。きっとガンジス河で下痢になる。チャイひとつ飲むにもぼったくられる。オーストラリアでは、思っていたより英語が通じなくて困る。サングラスが邪魔でカメラを構えにくい。飛行機が時間通りに飛ばないため、間違えたのかと冷や汗をかくだろう。

ところで、全然関係ないけれど、美少女戦士セーラームーンはどんな戦い方をしていたっけ? 妹と一緒にテレビを観た記憶はあるのだが、どのような手段で悪役を倒したのか忘れてしまった。まさか空手やこん棒で叩きのめすような真似はすまい。……と、さる会話の途中で友だちに聞いたら「本当に全然関係ないね」と驚かれた。
現実とはこういうものだ。